3-9. 真核細胞で翻訳されたポリペプチドの運命
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1) 翻訳後のタンパク質の移動
真核生物のタンパク質は正しい高次構造をとるとともに、種類によっては糖やリン酸基の付加や、限定分解を受けて成熟する
細胞質に浮遊している遊離型リボソームで合成されたタンパク質は細胞質で利用されるが、核やミトコンドリアで働くタンパク質は、タンパク質中にある特別なアミノ酸配列である移行シグナル(局在化シグナルともいう e.g. 核移行シグナル)
一方、小胞体膜に結合している膜結合型リボソームで合成されたタンパク質は小胞体の内腔に入るが、このときにはN末端にある疎水性のシグナルペプチド(リーダー配列ともいう)が切り取られる
小胞体の中で折り畳まれた後、撒くに包まれたままゴルジ体に移動し(タンパク質は主にここで化学修飾される)、その後小胞に入っていろいろな場所に運ばれたり、細胞外に放出(分泌)されたりする
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2) タンパク質の分解
折り畳みに失敗した変性タンパク質や寿命の比較的短い制御タンパク質などは、ユビキチンとよばれる小さなタンパク質が多数結合した後、プロテアソームという酵素複合体で分断処理される
ユビキチンを結合する酵素はユビキチンリガーゼといい(E3酵素ともいう)、基質の種類などに応じていろいろなものが存在する
一方、時間経過で老化したタンパク質やエンドサイトーシスで取り込んだ異物タンパク質などは、リソソームと融合した後で分断処理される
Column オートファジー
オートファジー(自食)
リソソームによるタンパク質分解のうち、細胞自身のタンパク質や細胞小器官を分解/消化する機構
細胞がアミノ酸飢餓状態に置かれたり、異常タンパク質あるいは老化して機能を失ったタンパク質が溜まるストレス状態になると起こる
標的タンパク質の周囲に隔離膜と呼ばれる膜構造が形成されてオートファゴソームという小胞ができ、オートファゴソームはリソソームと融合してオートリソソームとなり、内部のタンパク質がアミノ酸にまで分解される
アミノ酸は再利用される
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ミトコンドリアは好気呼吸で大量に発生する活性酵素などで傷害を受けやすく、オートファジーで処理される
細胞小器官のオートファジーをオルガネロファジー、ミトコンドリアのオートファジーをマイトファジーという
オートファジーはゴミとなったタンパク質を処理・再生させるシステムで、この機構の欠陥は発生・分化異常、がん、免疫異常、神経変性疾患(e.g. アルツハイマー病)など、様々な疾患の原因となる
オートファジーは大隈良典らにより発見された